この事例の依頼主
60代 女性
相談前の状況
・夫が来年退職する予定という妻からの依頼。・夫は自分名義の資産を妻に分与するこをと拒否。・退職の時期が迫る中、夫が退職後に退職金を独り占めするかもしれないと心配した妻が当事務所に依頼した。・当事務所に依頼する前に、他の弁護士にも相談していた。
解決への流れ
夫の退職まで半年程度しかなく、離婚調停や離婚裁判をしていると、夫の退職に間に合わない可能性が高いため、夫の退職金を仮差押えすることにした。【結果】・仮差押えが認められ、裁判所から夫の勤務先に対して、「退職金の支払いをしてはならない」という命令が出された。・その直後から、弁護士が妻の代理人となって夫との離婚協議を再開した。・夫は、仮差押えがなされたことにより、妻に対して財産分与をしなければならない立場であることを理解し、財産分与に応じた。
・仮差押えは、財産分与請求権が確定する前に相手方が財産を自由にできなくするものなので、必要性を裁判所に対して詳細に説明しなければなりません。・受任から申立てまで、迅速に対応しなければならないことにも注意が必要です。・仮差押えの本来の目的は、相手方の財産費消を防止する点にありますが、そのほかにも、仮差押えを受けた相手方が白旗を揚げ、裁判(本訴)を起こさなくても解決に至る場合もあるということもメリットです。・本件でも、妻に対して財産分与することを頑なに拒んでいた夫が、退職金を仮差押えされたことによって態度を変え、調停や裁判をするよりも大幅に時間短縮することができました。