この事例の依頼主
20代 女性
夫は浮気をし、さらに、その後生活費のことで言い争いになった際、妻に暴力を振り、怪我をさせました。夫は自宅を出ましたが、自宅の家賃を支払っているからと言って、妻に生活費を渡さず、幼い子を抱え働くこともできずに生活に困った妻が相談に来ました。
受任後も夫は生活費の支払いを拒絶したので、生活費を確保するため、まずは生活保護の申請をしてもらいました。婚姻費用分担請求では、調停で話し合いがつかず、審判となりました。同審判で、夫は、自分は家賃を支払っているし、妻は生活保護を受給しているから生活費の支払義務がないと主張しました。それに対し当方は、夫が義務を果たさないからやむを得ず生活保護を受給している、夫の負担義務が市の保護に優先し、夫が義務を負担すれば給付額は減額ないし停止させられるとして、妻の収入は0円で計算すべきと主張し、住居費については、家賃全額を控除するのではなく、妻の収入に応じた住居費を控除して分担額を算出すべきと主張したところ、当方の主張が認められ、夫に支払いを命じる審判が出ました。夫は即時抗告しましたが、抗告審でも当方の主張が認められ、抗告棄却の決定がでました。慰謝料については、依頼者の希望により、依頼者の友人でもあった夫の不貞相手に対して慰謝料請求をしたところ、相手は最後まで不貞を争いましたが、最終的には80万円での和解が成立しました。相手はまだ20代前半で収入がほとんどなく、高額の慰謝料は見込めなかったため、この金額で和解を成立させました。夫との離婚については、夫は、調停、訴訟、控訴審と一貫して不貞を争い、暴力についても1回軽く殴っただけなどと主張して争いました。不貞と暴力のいずれについてもしっかりした証拠があったため、1審、2審とも当方の主張が認められ、200万円の慰謝料が認められました。なお、夫は判決後、慰謝料や養育費の支払いをしなかったため、夫の給与に対して強制執行をしました。
慰謝料請求訴訟、婚姻費用分担請求につき、調停、審判、抗告審、離婚につき、調停、訴訟、控訴審と、手続の多さからとても印象に残っている事案です。全ての手続を終えるのに時間がかかりましたが、婚姻中酷い目にあった依頼者は、自身の主張が認められ、結果には満足されていました。まだ年齢が若い依頼者が、お子さんと共に新しい人生をスタートさせることができ、そのお手伝いができてよかったと思っています。