犯罪・刑事事件の解決事例

個人タクシーの運転手をしている男性からのご相談

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澤田 剛司 弁護士が解決
所属事務所弁護士法人若井綜合法律事務所新橋オフィス
所在地東京都 港区

この事例の依頼主

50代 男性

相談前の状況

私は個人タクシー事業者です。法人タクシーに所属している場合と違い、かなり自由に仕事ができるのがメリットだと感じております。ただし、何かトラブルがあったら自分で解決しなければならないのがデメリットですね。私の場合、最も困るのは車内の汚損です。タクシー会社に所属していれば車が一台汚れても別のタクシーを手配してもらえますが、個人タクシーの場合はほとんどの運転手だけが一台だけで運営しているので、車が使えなくなるのは本当に致命傷なのです。そのため、乗車されるお客様には事前に「汚損なされた場合は、汚損の度合いに沿ったクリーニング代と休業損害を請求します」と説明しています。そのせいで嫌な顔をされてお客様を逃すこともたまにありますが、私としては「リスクが下がること」のほうを優先しております。しかし、先日面倒なトラブルが発生してしまいました。少し顔色の悪そうな女性をタクシーに乗せました。指定された行き先は某病院でしたから、本当に体調が悪かったのだと思います。女性に対していつもどおり汚損に関する説明をすると、「大丈夫です。乗せてください」と言われました。しかし、指定された病院は乗車した場所から結構遠かったんですよね。タクシーでも15~20分ほどはかかってしまいます。「本当に平気なのだろうか」とも思いましたが、そんな私の気持ちを読んだかのように「絶対に大丈夫ですので、早く出発していただけると助かります」と言われました。「まあ汚損についての説明もしているし、後はなるようになるだろう」と考えて、タクシーを発車させました。後部座席に乗った女性の姿をミラーでこまめに確認しながら車を走らせましたが、案外落ち着いた顔色をしているので、「最初は焦っていて、それが顔色に出ただけかな」と安心していました。ですが、10分ほど車を走らせて赤信号で止まったところで、女性が「すみません……」と言って、そのまま嘔吐してしまいました。私は一応エチケット袋を渡しておいたのですが、なぜかそれを使わなかったので、座席の上に吐瀉物が大量に乗ってしまいました。普通のお客様であればこの時点でタクシーを降りてもらうのですが、女性は酷く体調が悪そうだったので、私は情に負けてそのまま病院へと向かいました。病院についてから、「個人情報をメモさせていただきますので、健康保険証などをお見せください」と頼むと、あっさり提示してくださいました。また、私のほうから説明しなくても、女性側から「お金も必ず支払いますので、請求してください。すみません!」と言ってくださいました。ですから後日請求しました。電話番号を聞いていたので、直接女性の声を聞くこととなりました。その電話で話をつけたつもりだったのですが、1週間経過しても振込がありませんでした。決して低い請求金額とは言えませんから、事情があれば聞くつもりですし、「分割も可能です」とも伝えました。「事前に汚損については説明したではないか」といくら言っても聞く耳を持ってくれないので、一旦女性に連絡するのはやめて、きちんと方針を立てることにしました。相手方の住所・氏名・連絡先は把握しているので、どうとでもなると思ったからです。そして、私は弁護士さんに相談することに決めました。弁護士費用について調べてみましたが、弁護士費用を支払ってでも女性に休業損害などを請求したほうがプラスになると判断したからです。※これらの内容は個人を特定できないよう、相談者の承諾を得て編集し載せております。======

解決への流れ

弁護士費用については心配していませんでしたが、「弁護士さんとの相談が長引けば、そのぶん仕事ができなくなるので困る」とは考えていました。ですが、実際には非常に迅速に解決してくださったので本当に助かりました。また、「明らかに具合が悪そうに見える女性を乗せた私も悪い」という話になるのかと思っていましたが、弁護士さんとしても「それとこれとは話が別」と言ってくださいました。まずは、弁護士さんがいるところで私のスマートフォンから連絡してみましたが、やはり女性は電話に出てくれませんでした。続いて弁護士さんがご自身の携帯電話で女性に電話をかけたところ、あっさり応答してくれました。少し話が長引いており、具体的に女性が何を言っているのか私には分かりませんでしたが、何やら叫んでいるのは理解できました。ですが、弁護士さんが「以降は全て私が対応いたしますので……」と言ってからはすぐに話がついたようです。それから3日後、一括で女性からお金が振り込まれました。もしかしたらお金がなくて振り込みを渋っていたのかと思っていましたが、どうやらそうではなかったようです。今回の件ですが、どうにも女性のほうに「タクシーの運転手というのは社会の奉仕者である」という意識があったのではないかと思います。女性の発言から「たまに私のような客が現れるのは当然であって、それを計算に入れた上で仕事をするべき」という意識がうかがえたのです。率直に言って、私のほうにもそういった気持ちが全くないわけではありませんでした。ですが、それでは今後の仕事に支障が出るかもしれないので、気持ちを入れ替えて、シビアに考えていこうと思っています。また、私自身、個人タクシーにおける汚損をはじめとするトラブルなどについて、法的な観点からもっと知識を深めていかなければならないと痛感しました。いずれにせよ、今回は本当に助かりました。スムーズに対応してくださってありがとうございました。※これらの内容は個人を特定できないよう、相談者の承諾を得て編集し載せております。

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澤田 剛司 弁護士からのコメント

依頼者様が相手方の連絡先を細かく把握していたのが功を奏しました。「相手方の所在は分からないが、請求したい」というご依頼もたまに頂きますが、達成できない場合もございます。また、達成できたとしても非常に難航するケースが多いです。ですから、個人タクシーの運転手様に限らず、「後日何らかの請求をする」という事態になった場合は、必ず相手方の連絡先を抑えてください。また、本件のようなパターンでは相手方は「請求者が諦めるまで押し通せば、払わずに済む」と考えているケースが少なくありません。そのため、「弁護士が介入しています」ということを伝えるだけで、萎縮して要求に応じるパターンが多いです。(弁護士を利用せずに、自力で請求を続けると泥沼化してしまう可能性が高いので、できるだけ早い段階でご相談いただければと思います)もちろん「弁護士さえ利用すればなんかとなる」という事例ばかりではなく、状況によっては弁護士が介入していると伝えるタイミングに気を付けなければならない場合もありますが、その辺りのことは弁護士が適切に判断しますのでご安心ください。