この事例の依頼主
50代 男性
相談前の状況
車両同士の信号機のない交差点における出合頭衝突の事故(交通事故証明書では、当方が甲欄で相手方が乙蘭とされていた。すなわち、警察では、当方の方が過失割合が大きいと考えられていた。)で、急ブレーキをかけた際にハンドルで右手関節を捻挫し、約1年の通院の後、症状固定となった。自賠責保険後遺障害診断書では、右手関節の疼痛と可動域制限の後遺障害が残存した旨の診断を得た。もっとも、被害者の傷病名が、TFCC損傷(手首の小指側にある靭帯と軟骨の複合体であるTFCCが損傷する怪我)であったため、後遺障害の認定に困難が予想された。
解決への流れ
相手方の自賠責保険会社に対して、後遺障害等級認定の直接請求(被害者請求)を行った。その際、詳細な意見書を添付し、可動域制限につき後遺障害等級12級、神経症状(運動時痛)につき、同14級に該当する旨の意見を付した。その結果、可動域制限につき、後遺障害等級12級を獲得することができた。これにより、自賠責保険から224万円の賠償金を得た。また、本件では、後遺障害の有無の外、過失割合の争点もあったが(当方、相手方ともに、4:6又は6:4の過失割合をそれぞれ主張した。)、相手方任意保険会社との示談交渉の結果、480万円の賠償金を得た。したがって、最終的には、700万円を超える経済的利益を獲得することができた。
本件のようなTFCC損傷の事案では、依頼者に後遺障害が認定されなければ、1年以上通院しても、100万円以下の賠償額も予想された(過失割合にも争いがあったため、50万円程度の賠償額も予想された。)。ところが、後遺障害等級12級が認定されたことから、損害額が大きくなり、過失割合についても、当方に有利な結果を得ることができた(相手方任意保険会社としては、示談交渉が決裂した場合には訴訟となり、高額の賠償額が認定されることを恐れ、過失割合についても、妥協せざるを得なかったものと思わます。)。本件は、交通事故においては、後遺障害等級を獲得できるか否かが如何に重要かを再認識させられた事案です。