この事例の依頼主
30代 男性
相談前の状況
相談者様は、交通事故による受傷後、頚椎捻挫の診断を受けましたが、仕事の関係で週に1回程度しか整形外科を受診することができず、満足のいく治療を行うことが出来ませんでした。そこで、担当医に相談し、整骨院を受診することになりましたが、保険会社から「整骨院での治療は認めない」旨を言われ、担当医に相談したところ、弁護士に相談した方がよいと助言され、当事務所にご相談に来られました。
解決への流れ
相談者様から事情を伺ったところ、土曜日の午前中は整形外科に通うことはできるとのことで、それ以外を整骨院で施術を受けたいとのご希望でした。法的には、医師の指導の下の整骨院治療であれば治療行為として認められるため、保険会社治療費を任意に支払わないリスクはありますが(その場合は、一度自費で整骨院費用を支払うことになります)、整形外科と整骨院に並行して通うことになりました。依頼を受けた後、弁護士から加害者の保険会社へ連絡したところ、「整骨院治療は認めない。治療費は払わない」との反応だったので、弁護士から「医師の指導の下であるため整骨院治療は法的に認められる」旨を抗議しましたが、保険会社は頑なに認めませんでした。そのため、治療終了後、相談者様と協議し、整骨院治療を含めた賠償金を求めて裁判を提起することになりました。裁判では、整骨院治療の必要性・相当性が争点となりましたが、担当医が整骨院治療を認めていたこと、整骨院治療では同一部位の施術に限っていたこと、カルテ等の医師の所見等から、整骨院治療も賠償の範囲内として認めてもらうことに成功しました。
整骨院や柔道整復師の施術は、法的には直ちに治療行為として認められないため、保険会社は整骨院等での施術を拒否する場合があります。もっとも、仕事等のやむを得ない事情から、整形外科での治療を事実上受けられない方がいるのも事実です。そこで、医師の指導・監督のもと、整骨院治療が行われたことが証明できれば、一定程度整骨院での施術も治療行為として認められることがあります。なお、整形外科等の医療機関に全く通わず、整骨院施術のみに終始している場合は、裁判上、治療行為として認められなくなるケースもあるので、注意が必要です。