犯罪・刑事事件の解決事例
#財産目録・調査

相続人からハンコをもらわないと払われない共済金【相続・債権回収】

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寺田 弘晃 弁護士が解決
所属事務所神楽坂総合法律事務所
所在地東京都 新宿区

この事例の依頼主

60代 男性

相談前の状況

相談者である法人は、従業員を被保険者、相談者法人を受取人とする団体定期保険契約を保険会社との間で締結し、従業員Aの死亡に伴い、保険会社に保険金の請求を行いました。しかし、独り身であると思っていた、その従業員には、実は前妻との間の子が3名おり、当該保険契約の内容として、遺族1名から同意(署名・押印)がなければ、共済金(600万円)の支払がされないとのことでした。従業員の遺族とは疎遠であったうえ、当職が受任する以前に関与していた行政書士の説明により遺族1名は、共済金を自分たちがもらえる物と勘違いしてしまい、交渉がまとまらず、相談になりました。

解決への流れ

弁護士の職務上請求によってご遺族全員の現住所を特定し、その中で最も影響力がある方をピックアップし、その方を中心に交渉を進めました。そのうえで、当該遺族に今回の共済金が遺産ではないこと等を書面で丁寧に説明し、さらに直接面談を重ねて信用を得、署名・押印をもらいました。遺族の方としては、父親が保険に入れられた後、保険金目当てで何か画策があったのではないかということも疑っていたようですが、保険の加入状況、亡くなった経過等を説明し、そういった猜疑心も解消することができました。署名押印のお礼として20万円ほどを供養代名目でお渡しし、相談者は保険会社から共済金約600万円の回収に成功しました。

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寺田 弘晃 弁護士からのコメント

親類関係にない(又は遠い)一般の方が、戸籍を辿ってご遺族を探すことは手間もかかり、難しいと思われます。一方で弁護士であれば、職権を利用することにより戸籍を取得し、このような遺族も探すことが可能です。また、今回の件では、遺族の方の誤解や猜疑心をしっかり聴き、これを解消するよう説明の仕方を工夫することで、関係者全員が納得する形で解決に至りました。なお、今回の件だけでなく遺産分割協議等は、交渉や調整によって早期に解決しえる場合があります。私は、このような交渉等を第一に考えています。当然のことながら、弁護士である以上、法律上の結論を押さえ、いざとなれば、法的手続きに速やかに移行する準備も怠りませんが、関係者の不信感や疑問点を解消することで、スムーズにまたは納得感が高い形で解決を目指します。