この事例の依頼主
50代
相談前の状況
相談内容相談者は女性で,義両親からのいじめで別居期間3年の夫から離婚請求されているとの相談。2人の間には未成年の子供が2人おり,相談者は現在監護している。夫の収入は給与と,結婚前に購入してローンも完済していた不動産からの賃料収入があるが,毎月の生活費は低額しかもらっていない。夫側から離婚請求を受けているが,条件面で折り合わず,調停を申し立てられた。特に問題になっているのは,夫が婚姻前から所有していた不動産及びその賃料収入の扱い(養育費等の増額事由になるか,また賃料を貯蓄してできた預金が分与の対象になるか)である。
解決への流れ
調停の手続代理人として受任。期日においてはやはり不動産及びその賃料の扱いが問題になったが,過去の裁判例や文献等を調査した上でそれを証拠として提出し,最終的には,「夫婦共同生活の生活の資として使用していた部分」については,養育費や婚姻費用の計算において加味し,またその部分を財産分与の対象として扱う事も可能という前提の下,相手方と勝訴的な内容の調停を成立させることができた。
離婚協議の際して夫婦の一方が婚姻前から不動産等を保有している場合,それを財産分与の対象にしてよいのか,また,そこから毎月入ってくる賃料等については,養育費や婚姻費用の算定に加味してよいのかという問題がありますが,今回はまさにこの点が問題視された事案でした。通常の文献には記載が無い難しい問題のため,主張の整理には苦労をしましたが,粘り強く過去の裁判例にあたり,不動産取得の経緯や賃料収入の使途等について証拠を纏めて主張を行いました。その結果,夫婦一方の特有財産から定期的に得られる賃料等であっても,それが夫婦の「生活の資として使用」されていた場合には,その部分については,婚姻費用や養育費の計算の際に加味して計算を行うことが許されるという共通認識を形成することができ,それを前提として,依頼者に有利な勝訴的な調停を成立させることができました。