この事例の依頼主
40代 男性
相談前の状況
Bさんは、子どものいない叔母の相続人の1人でしたが、生前に叔母の面倒をみてきてました。Bさんから、遠方に住む叔母の妹夫婦もそのことを十分に知っており、Bさんに多めに遺産を取得してもらいたいという意向があるがどういう手続があるか相談がありました。
解決への流れ
叔母の妹の意思が明確であれば、法定相続分をBさんが取得する手続として、「相続分譲渡手続」が一番良いと考え、叔母の妹夫婦と連絡をとりました。事情を説明したところ、妹夫婦は相続分を譲渡することは同意しましたが、譲渡により不利益が生じることはないか心配をしておりました。そこで、遠方に住み、面談で話ができないことから、できる限り分かりやすい文章で書面にして、手続の概要を説明し、必要書類を整えて貰うことにしました。無事、妹から書類が届き、Bさんの相続分は24分の1から6分の1に増加しました。
Bさんは、生前に叔母の面倒をみてきてましたので、寄与分の主張をすることも考えられますが、寄与分の主張が裁判所で大きく認められることは少ないのが実情です。今回は妹夫婦がBさんの献身的な世話を十分に理解していたことから、「相続分譲渡手続」という選択をしました。相続分譲渡手続は、Bさんにとってメリットも大きいですが、弁護士としては、妹が高齢ゆえ、十分に理解して、安心して手続をしてもらうことが大切ですので、できる限り、分かりやすい書面を作成することを心がけ、納得してもらうことに努力しました。