この事例の依頼主
80代以上 女性
相談前の状況
Aさんは亡夫との間に子どもがいないため、亡夫の遺産を兄弟姉妹と相続することにしました。夫は自筆の遺言を作成していましたが、その内容は不動産のみをAさんに渡すことは記載されていましたが、預貯金等については何も書いてありませんでした。Aさんは、亡夫の兄弟姉妹と連絡をとりましたが、なかなか話がつかず、弁護士に相談することにしました。
解決への流れ
自筆の遺言があることから、まず家庭裁判所で検認手続をとり、その後、兄弟姉妹に遺産分割の申し入れを行いました。兄弟姉妹からは、不動産も含めた遺産についての法定相続分での取得を主張してきました。もっとも、弁護士からは、亡夫が妻であるAさんに不動産を渡す遺言を作成した趣旨について法的見解を踏まえて説得したところ、兄弟姉妹も納得し、預貯金について法定相続分で遺産分割をすることで合意しました。
遺言には大きく分けて公正証書遺言と自筆証書遺言があります。自筆証書遺言の場合には、遺言書を裁判所で確認する手続が必要となりますので注意が必要です。お子さんがいない夫婦2人の場合には、残された配偶者のためにしっかりとした遺言を作成することが大切です。Aさんの亡夫も2人で築き上げた不動産については妻に全部相続させたいという意思があったものと思います。その意思を尊重して法的根拠で他の相続人を説得したことで、円満に解決することが出来ました。