この事例の依頼主
20代 女性
相談前の状況
女性の方の相談でした。夫との別居の際,子どもを連れて実家に帰ろうとしたが,夫家族が追いかけてきて子ともは連れ戻されてしまった。仕方なく一人で実家に戻った。翌日,警察と一緒に子どもを引き取りに行ったが,夫家族は引き渡す気が無く,警察からはこれ以上関われないと言われ,やむなく離婚調停を起こしたが,夫は子どもを渡せないとの一点張りで,調停は不成立で終わってしまった。どうしたらいいのか,という相談で,受任しました。
解決への流れ
子どもが夫家族に引き取られて2ヶ月ほどを経過しており,子の引き渡し審判や仮処分申立を行うのは難しい事案でした。そこで,離婚裁判を提起しました。裁判所の意向で改めて離婚調停になりました。離婚調停では,父母のどちらが親権者としてより適切かを判断してもらう調査官調査を行う前提として,母子の面会は必須だと説明し,子どもとの面会を優先して設定してもらいました。依頼者は2週間に1度,子どもとの面会を繰り返し,私も依頼者と一緒に子供の面会に何度も立ち会いました。子供は幼く,母親の顔も忘れていましたが,母親との面会を通じ母親を思い出し母親によく懐きました。その後の裁判所の調査官調査の結果,子供は母親の元に戻す結論が示され,子供の親権は母親とする内容で離婚が成立しました。
すぐに相談に来て頂ければ,子の引き渡し審判や仮処分申立という選択肢も選択できたのですが,時間が経っており,その選択肢は使えませんでした。弁護士としての活動としては苦しい状態からのスタートでした。ただ,その後,裁判所を通じて面会が実現し,母子関係を取り戻すことができたのが大変良かったです。子供と母親との面会がスムーズに行くように,私も面会場所に自分の幼い子供を連れていくなどして和やかな雰囲気作りを心がけました。調査官による調査結果も母親が親権者として適切との判断が下ると思っていましたが,結果を聞くまではどきどきでした。子どもは母親の元に戻ってきて,今もすくすく育っております。両親が離婚することは子どもにとっては不幸なことですが,少しでも子どもが幸せに育てる環境を作るお手伝いをする,そんな気持ちで弁護活動を行った事件でした。