この事例の依頼主
20代 男性
相談前の状況
ある日曜日,勾留先の警察署の留置係から,ご依頼者様が私に依頼したいといっていると電話がありました。接見に行くと,「逮捕後勾留前まで依頼していた当番弁護士が動いてくれなかったため勾留されてしまった」,「このまま勾留が長引けば勤務先から解雇されてしまうかもしれない。早期に釈放してもらうべく弁護活動をしてもらいたい。」とのことでした。
解決への流れ
ご依頼者様とのお話から,ご依頼者様に謝罪文を作成しもらい,被害者との示談ができれば,勾留の理由又は勾留の必要性がなくなったとして勾留が取り消されるべき事案だと判断しました。そこで,接見前に事前に用意していた便せんを差し入れ,ご依頼者様との会話を通じて謝罪の言葉を引き出し,接見当日に謝罪文を作成しました。また,その日のうちに被害者とアポイントメントを取り付け,示談書を交わしました。さらに,その日の夜にはご依頼者のお母様に身柄引受書に署名押印をしていただき,勾留取消請求書を作成しました。そして,翌日に裁判所に勾留取消請求書を提出し,翌々日には裁判官から交流の必要性がないとして勾留取消の決定が出ました(最終的に不起訴処分)。この間,逮捕からは5日程度経過していたため,ご依頼者様からの要望もあって,勤務先に連絡をして,何とか早期に釈放するから処遇についてはお待ちいただく様に連絡をしました。その結果,処遇については待っていただくことになり,早期に釈放された結果,解雇されずに済みました。
本来であれば,検察官からの勾留請求に対して裁判官が却下することを促す弁護活動がなされているべき事案でしたが,私が受任する前の当番弁護士が適切に弁護活動をしなかったため,勾留されてしまい,勤務先から解雇されるおそれが生じてしまいました。接見後,ご依頼者様からお話を伺い,事案を分析し,勾留取消しにより早期に身柄釈放される見込みがある事案だと考え,それを目指した弁護活動をすることになりました。私は,接見後にすぐに弁護活動に動けるように,接見前から便せん等必要書類を用意して接見に向かうようにしております。本件も,初回接見中に謝罪文を作成できました。なお,勾留取消しに関していうと,平成26年5万5914人で,請求により勾留が取り消された被告人はわずか94人,被疑者を足しても151人にとどまります。年々早期の身柄釈放が奏功する事案が増えておりますが,勾留取消しは一般的には難しいケースといえるかと思います。