この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
訴訟の段階から私が関与し、A氏に対する損害賠償請求訴訟を提起し、約1000万円の支払いを命ずる判決を得て確定しました。しかしながら、A氏は、判決確定後も支払いをせず、支払条件等についての申し入れもしてきませんでした。なお、A氏は、商売をしていて店舗を構えていましたが、それ以外は財産の有無・所在は不明でした。
解決への流れ
A氏の店の近くにある銀行の支店の預金や郵便貯金の差押えを試みました。その際、A氏が数年前に婚姻して姓を変えていたことから、念のため、旧姓名義の預貯金も差押えの対象として裁判所に債権差押命令の申立てをし、決定を得ました。その結果、複数の銀行の預金について合計130万円程度を差し押さえることができ、また、郵便貯金に関しては、A氏の旧姓名義の貯金が300万円近くあったので、それも差し押さえることができました。判決認容額を全額回収することはできませんでしたが、被告(債務者)の預貯金から合計約430万円を回収することができたのはそれなりの成果でした。
相手方に金銭の支払いを命ずる判決が確定しても、相手方がその支払いをしない場合は、原告(債権者)の側で相手方の財産の調査をし、確定判決に基づいて相手方の財産の差押えをしなければなりません。相手方名義の不動産があるとか、相手方の勤務先が判明している場合は、不動産や給料を差し押さえることができますが、相手方の財産の所在が分からないときは、相手方の住所地近くの銀行の支店の預金を当てずっぽうで差し押さえることもあります。しかしながら、実際は、その支店に対象となる相手方名義の口座がなかったり、あったとしても非常に少額の預金残高しかないという場合がほとんどです。そのような中で、本件は、かなり高額の回収ができたケースです。現在は、一部の大手銀行に限られますが、確定判決があれば、弁護士法23条の2による弁護士会照会(いわゆる23条照会)により、相手方名義の預金の有無・残高の全店照会に応じる取扱いがされているところがあります。そこで、相手方の住所地等の近くの銀行の支店の預金を当てずっぽうで差し押さえる前に、この23条照会による調査をするのも一考の価値があります。