この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
A社は、B氏に約5000万円を詐取されたということで、B氏に対する損害賠償請求を私に依頼されました。
まずB氏名義の店舗兼自宅(土地・建物)の不動産仮差押えをするとともに、B氏を被告として損害賠償請求訴訟を地方裁判所に提起しました。第一審では、B氏は、詐欺の事実を全面的に争ってきましたが、 審理の結果、A社のB氏に対する損害賠償金約5000万円及び遅延損害金の請求を認容する全面勝訴の判決が言い渡されました。その後、B氏から控訴が提起され、審理の場は高等裁判所に移りました(この間、私は、A社代理人として、詐欺の事実でB氏の刑事告訴を行いました。)。控訴審では、裁判所からの勧めでB氏との間で和解の話が進められました。そして、最終的には、①B氏が約5000万円の損害賠償債務と遅延損害金の支払債務を認め、②頭金として500万円を支払い、残金は毎月20万円ずつの分割払いとし、③期限の利益を喪失することなく元金相当額を支払ったときは残額(遅延損害金相当額)を免除するとの内容の和解が成立しました。その後、B氏より頭金と分割金の支払いがなされましたが、合計約1000万円が支払われたところで、B氏からの分割金の支払いが滞るようになりました。B氏は、金融機関に対する返済も遅滞させ、B氏の店舗兼自宅に抵当権を設定していた金融機関から競売申立てがなされました。私は、競売手続きの中でA社代理人として配当要求をしましたが、競売申立てをした金融機関の抵当権が仮差押え前に設定されたのものであったため、配当を受けられるだけの余剰はなく、残念ながらこの競売手続きからの回収はできませんでした。その後も、B氏は、他に店舗を借りて細々と事業を継続していましたが、和解金の支払いは滞ったままでした。そこで、和解調書に基づいて財産開示手続き(民執196条以下)を行い、判明したB氏名義の預金等について債権執行を行うなどして約20万円を回収しました(B氏の自宅内の動産について動産執行も行いましたが、差し押さえるべき財産がなく、執行不能となりました。)。その後、B氏は、事業を廃止して事実上の倒産状態となり、最終的には、A社は、B氏に対する債権残額を放棄し、貸倒処理が行われました。
損害賠償債権約5000万円のうち、結果的に回収できたのは約1000万円にすぎませんので、決して債権回収の成功事例とは言えません。ただ、民事訴訟だけでなく、刑事告訴、不動産仮差押え、競売手続における配当要求、財産開示手続、債権執行及び動産執行といった様々な手続により債権回収を模索した事例としてご紹介します。