この事例の依頼主
40代 男性
相談前の状況
ご相談者Aさんは、B社が経営するビジネスホテルの支配人として採用されました。Aさんが支配人になってからは、人員不足から、Aさんが日勤と夜勤のスタッフの仕事も兼ねて行わなければなりませんでした。しかしながら、AさんはB社からは、27万円の基本給の他には管理職手当として月額3万円が支給されていただけで、残業代は一切支給されていませんでした。Aさんは、約1年半でB社を退社した後、同社に対して未払い残業代の請求がしたいとのことで相談に来られました。
解決への流れ
Aさんは、自分の在職中のタイムカードのコピーをきちんと確保していたので、それに基づいて、時間外手当の計算を行いました。そして、B社に対し、Aさんがホテル支配人として在職していた約1年半分の未払い残業代680万円と遅延損害金を請求する通知書を内容証明郵便で送付しました。それに対し、B社からは無回答であったため、未払賃金請求訴訟を地方裁判所に提起しました。訴訟において、B社からは、Aさんが管理監督者であるとの主張を始め様々な主張がなされましたが、一つ一つ丁寧に反論していきました。そして、主張と反論が出揃った段階で、裁判所から解決金を450万円とする和解の試みがなされました。そして、最終的には、B社から解決金450万円を毎月150万円ずつ3回に分割して支払うとの提案がなされ、当方もそれを呑んで訴訟上の和解が成立しました。そして、B社からは、和解に基づいて滞りなく解決金の分割金の支払いがなされ、事件は終了しました。
Aさんは、B社退社時にご自分のタイムカードの写しを確保していたので、それが未払い残業代の計算をする上でたいへん役立ちました(それをエクセルに落とし込んでの時間外・深夜・休日労働時間と未払い賃金の集計作業は、相当な時間と労力を要しましたが)。訴訟提起前は、B社の支払能力について若干の懸念があったのですが、Aさんの当初の想定に近い金額で解決ができ、Aさんにもご満足をいただけました。未払い残業代の請求を巡る交渉や訴訟においては、日々の具体的な時間外労働時間を立証できる証拠が重要になります。勤務先を退社した後では、証拠は、手元にあるもの以外では証拠保全の手続きか元勤務先からの任意の提出によって確保するしかなくなりますので、未払い残業代の請求を考えるときは、勤務先を退社する前からその立証に役立つ証拠を確保しておくべきです。労働時間管理の方法は企業によって様々ですので、どのような証拠をどのような方法で確保すべきかについては、できるだけ早い段階での弁護士へのご相談をお勧めします。