この事例の依頼主
20代 男性
債務総額:1200万円ほど債権者数:10社ほど業態:元ホスト(ご依頼時は、ホストは辞めており昼の仕事で稼働中)元カノ(キャバ嬢)の女性から借金返済を求める裁判を起こされており、その対応をお願いしたいです。元カノの彼氏とかいう人から頻繁に電話連絡があり、参っています。裁判をするなら裁判所で話をして欲しいのですが、直接何度も電話がかかってきてしまいますので、そのことで困り果てています。また、この元カノからの借金だけではなく、他の消費者金融等からも借金があるので、この際借金を全てしっかりと整理したいです。ホストの仕事をしていたときは、お客さんの接客のためにスーツやバッグ、小物など高額なブランド品を購入していました。また、ホスト仲間とキャバクラに行ったり飲食する際にかなりの金額を使ってしまっており、また、ホスト仲間とパチンコや競馬をしたりしていました。ホストをしていた時はかなり収入もよかったのですが、上記のようにブランド品を買ったり、お客さんに季節の挨拶をしたりと、いろいろと経費のような形でお金がかなりかかってしまい、結局、借金の額が膨らんでいくことになりました。上記のような浪費でできた借金の額はおよそ1000万円ほどなので、借金全体の大半は浪費ということになります。ただ、当時はホストという仕事柄金銭感覚が麻痺していました。ホストの仕事を辞めてもう2年ほどが経ちますが、今は昼の仕事を一生懸命して、浪費などもほとんどありません(たまにパチンコをする程度です)。元カノの対応と借金の整理を合わせてお願いします。
正直に言いますと、元カノの現彼氏から電話が一番参っていましたので、秦弁護士に間に入ってもらって、このような電話がピタッとなくなったのが一番助かりました。裁判は、敗訴になってしまいましたが、私の方で借用書を元カノに書いてしまっていたので致し方ないと思っています。借金について、浪費がここまで問題になるとは正直予想していませんでした。ホスト仲間も散財している人は本当に散財していましたから、このくらいのことは普通と言ってはいけないのでしょうけれども、そんなに特別なことだとは感じていませんでした。このようなこと自体金銭感覚が麻痺しているということなのかもしれません。始めて破産管財人の方にお会いした時には、「こんなに浪費が多いと免責は認めない可能性が高い」と言われたときには、どうしようかと本当に心配でしたが、うまく乗り切ることが出来て無事免責を受けることが出来ました。これも、秦弁護士のサポートのおかげです。今回のことでは親父にもずいぶん迷惑をかけてしまいましたので、今後は親父に迷惑をかけないよう生活を立て直してやり直していきたいと考えています。
破産の申し立ては、借金に対する支払い能力がなければ、それで手続きは順調に進むと考えると大間違いです。一口に破産と言いましても、実質的には(狭い意味での)破産と免責という二つの手続きが同時並行で進んでいます。分かりやすく言いますと、(狭い意味での)破産というのは、どのくらい財産を持っていて本当に借金を支払えない状態なのか、収入がどのくらいあるのかといった主に支払い不能と評価できるのかという点を審査する手続きと言えます。これに対して「免責」というのは、借金の返済義務を免れさせて構わないのかどうかの審査をする手続きです。今回のように浪費等の事情がないかが主な審査対象になります。このように二つの手続きが同時並行で進んでいますから、破産は認められても、免責は認められないということが起こり得るのですが、そうしますと、借金自体はそのまま残ってしまいます。そもそも破産を申し立てるのは、借金の支払いを免れるために申し立てているのですから、免責が認められないと、申立をするメリットはほとんどなくなってしまいます。そのため、免責が認められるかどうかは非常に重要な意味があります。今回のケースは、この免責が認めれるかどうかの瀬戸際のケースでしたので、無事免責が認められてよかったと思います。このような免責が認められるために私の方で意識して取り組んだのは以下の点です。①依頼者は、実家でご両親と一緒に暮らしていましたので、お父様に監督を誓う書面作成のご協力を得ました。②依頼者本人の反省文を作成し、提出しました。③破産申し立て時にご依頼者はまだパチンコをしていましたので、パチンコを辞めさせました。④浪費とひとくくりに考えず、ホストとしての業務経費と呼ばれるものを特定し、純然たる浪費とは区別すべきだという点をクローズアップしました。最終的には、元カノの方が債権届をせず、破産手続きに無関心な姿勢を示したこともあって、何とか免責を得ることが出来ました。免責が認められませんと、法律上正式に借金の返済を免れることはできませんので、無事に免責を得ることが出来てよかったと思っています。