この事例の依頼主
70代
相談前の状況
被相続人には,奥様とお子様2名のほか,先妻の子1名,先妻の子の代襲相続人3名がおりました。しかし,被相続人は生前,先妻の子について,何らご家族に話をしていなかかったため,奥様やお子様は,先妻の子や代襲相続人について全く存在を認識しておらず,当然のことながら先妻の子や代襲相続人と面識もありませんでした。そのため,預金や不動産等の名義変更について,どのように手続きを進めていくべきか困り果て,ご来社されました。
解決への流れ
まずは戸籍等を取寄せ,相続人を特定し,先妻の子,及び代襲相続人3名に,経緯を詳細にまとめた書面を送り,その後,電話でも丁寧に当方の意向を説明しました。各相続人の方と話をすると,先妻の子と代襲相続人との間にも交流がなく,連絡先も把握していないことが判明したため,形式としては,遺産分割協議という形ではなく,相続分譲渡という形を取ることにしました。遺産分割協議ですと,遺産分割協議書を相続人間で順次回して,署名・捺印をしていく必要があり,住所等を知られることに抵抗を示す相続人の方が出てくることも十分あり得ると考えられたためです。代襲相続人の中には,この相続分の無償譲渡について,当初難色を示された方もおられましたが,当職の粘り強い交渉の結果,最終的には,相続人全員が,奥様に相続分を無償譲渡することに合意していただけました。
当初は,相続分の譲渡に難色を示された方がおり,長期戦も十分に想定される状況でしたが,根気強く話を続けた結果,当方の意向をご理解いただき,ご依頼者様の望み通りの結果を得ることができました。また,相続分譲渡証書には,署名・捺印のほか,印鑑証明書の添付が必須とされており,各相続人からご協力いただくことが不可欠なため,お心付けをお渡しする等して,手続きが円滑に進むように気を配りました。併せて,手続きの都度,大量の戸籍を提出するのは煩雑で,余計な時間もかかるため,法定相続情報を申請し,迅速かつ円滑に手続きが進むように努めました。