この事例の依頼主
40代 女性
夫から、長年妻と子が暴力を受けており、酒に酔って激しい暴力を振るわれたので子が110番通報して夫が警察に逮捕されたが、いずれ釈放されてきた場合に怖くて会いたくないし、離婚をしたいということで相談を受け、受任することになった。
最近は、DV事案で逮捕されても、2日程度で釈放されることが増えており、仮に更なる身柄拘束が認められたとしても、10日間で罰金刑を受けて釈放されることがほとんどです。その間に、夫には国選弁護人が就いて、示談の働き掛けをしてきて、示談した場合には、処罰されることなくすぐに釈放されて出てくる可能性が高いです。そのため、その示談交渉の窓口に私がなり、夫側に就いた弁護人に対して、離婚や慰謝料等の請求をした。合わせて、警察・検察側と密に連絡を取り合い、処分内容の見込みや釈放時期についての情報収集に努めながら、転居時期を調整して、釈放前に転居して身を隠すこととした。公的なシェルターが複数札幌市内にもあり、DV被害者はストーカー被害者がこれを利用することもできますが、職場や学校に行くことができなくなってしまうなどの大きな制約を受ける場合があり、それができない場合には、一時的にウィークリーマンションに避難してもらったり、転居を検討することになります。このケースでは、離婚等の要求にも応じなかったことから、示談は成立せず、罰金刑を受けて夫は10日間で釈放されることになりました。最悪、身の危険もあるケースでしたので、転居をして防犯カメラを設置して、接触がないか様子を見てもらいつつ、家庭裁判所に調停の申立をしました。調停でも、なかなかDV被害者の置かれた状況や再被害の恐れについての正しい知識を有していない方が担当されると紛糾することが多く、本件でもそのような状況で、度々私から強く説明をする場面がありました。最終的には、概ね妥協の範囲での条件での調停成立に至り、その後の接触や再被害も現在まで生じた報告は入っていない現状にあります。
DVやストーカー的要素のある離婚事案については、まず、最悪の最悪を想定し、その最悪のことが起こらないようリスク管理する必要があり、その危険度チェックが極めて重要になってきます。当事務所では、DV事案、ストーカー事案に多数の経験を有しており、そのリスク管理を徹底して安全確保に努めています。離婚の切り出し方一つで、その危険度は大きく揺れ動きますので、お悩みの方は、まずお早めに、専門知識を有する弁護士にご相談されることをお勧めします。