13463.jpg
話題の音声SNS「Clubhouse」、犯罪の温床になる懸念…もし被害にあったら
2021年02月04日 10時03分

米国発の音声SNSアプリ「Clubhouse」(クラブハウス)が、日本でも人気急上昇して利用が広がる中、ネット上では懸念する声もあがっている。

Clubhouseは招待制のSNSアプリで、ツイッターやフェイスブックとは違って、「音声のみ」でやり取りするというものだ。日本でも、芸能人やインフルエンサーが続々と登録して、爆発的に利用が広がっている

しかし、ルームと呼ばれる「閉じられた場」では、特定の相手とだけ話すことができるため、ネット上では「詐欺など、犯罪の温床になるのでは?」という指摘が少なくない。

一方で、Clubhouseは規約で、次のような限られた条件以外での記録を禁止している( https://www.cloudsign.jp/media/20210128-clubhouse-tos/ )。

つまり、少なくとも規約上は、利用者が、自分や相手の発言を記録するにとても高いハードルが課せられているのだ。

ここで心配になるのが、Clubhouseがきっかけで犯罪に巻き込まれる場合だ。たとえば、ルームの会話を録音しておいて、あとから詐欺などの犯罪に巻き込まれたとわかったとき、その録音(あるいはその書き起こし)を証拠としてもらうことはできるのだろうか。

刑事事件にくわしい南川学弁護士に聞いた。

米国発の音声SNSアプリ「Clubhouse」(クラブハウス)が、日本でも人気急上昇して利用が広がる中、ネット上では懸念する声もあがっている。

Clubhouseは招待制のSNSアプリで、ツイッターやフェイスブックとは違って、「音声のみ」でやり取りするというものだ。日本でも、芸能人やインフルエンサーが続々と登録して、爆発的に利用が広がっている

しかし、ルームと呼ばれる「閉じられた場」では、特定の相手とだけ話すことができるため、ネット上では「詐欺など、犯罪の温床になるのでは?」という指摘が少なくない。

一方で、Clubhouseは規約で、次のような限られた条件以外での記録を禁止している( https://www.cloudsign.jp/media/20210128-clubhouse-tos/ )。

・関係するスピーカー全員の明示的かつ書面による同意なく会話を記録すること

・「オフレコ」として扱うよう明示的に表明されたにもかかわらず情報を(Clubhouse内または他の場所で)共有すること

つまり、少なくとも規約上は、利用者が、自分や相手の発言を記録するにとても高いハードルが課せられているのだ。

ここで心配になるのが、Clubhouseがきっかけで犯罪に巻き込まれる場合だ。たとえば、ルームの会話を録音しておいて、あとから詐欺などの犯罪に巻き込まれたとわかったとき、その録音(あるいはその書き起こし)を証拠としてもらうことはできるのだろうか。

刑事事件にくわしい南川学弁護士に聞いた。

●「無許可の録音」も刑事事件の証拠になりえる

——もしも、Clubhouseで犯罪に巻き込まれてしまった場合、規約上禁止されている「無許可の録音」や、その「書き起こし」であっても、証拠になり得るのだろうか?

規約上禁止されている「無許可の録音」やその「書き起こし」は、規約上禁止されていても、被害にあった一般人が「無許可の録音」やその「書き起こし」を提出する場合、刑事裁判で犯罪を立証するための証拠として採用されると十分考えられます。

なぜならば、刑事事件で違法な証拠が採用できないとされているのは、主に捜査機関による違法な捜査を防止する目的とされているので、国家機関が違法な行為によって証拠を入手した場合を対象としており、一般人の行為を対象と考えていないからです。

●「誰の発言か」特定が必要になる可能性も

——「規約違反」は違法にならない?

一般人が、たとえば不正アクセスといった犯罪に該当するような行為で証拠を入手した場合ならともかく、登録すれば誰でも聞くことができる状況の音声の記録といった規約違反という民事上の違法だけであれば、そこまで違法の程度が高くないことからも、刑事事件で証拠として認められない可能性はほとんどないといえます。

したがって、もし犯罪に巻き込まれた場合、規約上禁止されている無断の録音やその書き起こしは、刑事裁判で証拠となりますので、警察が証拠として受け取ってくれると考えます。

ただし、捜査機関に事件化を求めるに際しては、書き起こしだとその正確性が問題となりますし、音声だけの録音であれば、なりすましの可能性があるので、それが誰の発言なのかという、加害者の特定の問題が生じると思います。

加害者が否定した場合には、IPアドレスなどの特定や声紋鑑定などが必要になるかもしれません。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る