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会社員に与えられる「有給休暇」 消化できなかったら買い取ってもらえる?
2013年10月15日 12時45分

会社員にとっては、時間とお金が同時に手に入る有給休暇は何よりのご褒美だ。だが、現実は厳しい。休暇を取ろうと思った矢先に急ぎの仕事が入ったり、同僚が体調を崩したり……あれこれするうちに「未消化」のまま年度末を迎えるという人も多いだろう。

厚労省の調査では、日本企業の2011年の平均年次有給休暇は18.3日。ところが実際に取得されたのは9日と、大きな隔たりがある。せっかくの制度も、これでは絵に描いた餅だ。

だが、有給休暇はもともと「労働者の権利」のはず。仕事の都合でとれないというのは、そもそもおかしい。ならば、せめて「使い切れなかった有給休暇を会社に買い取ってもらう」ことはできないのだろうか。労働問題にくわしい畠山晃弁護士に聞いた。

会社員にとっては、時間とお金が同時に手に入る有給休暇は何よりのご褒美だ。だが、現実は厳しい。休暇を取ろうと思った矢先に急ぎの仕事が入ったり、同僚が体調を崩したり……あれこれするうちに「未消化」のまま年度末を迎えるという人も多いだろう。

厚労省の調査では、日本企業の2011年の平均年次有給休暇は18.3日。ところが実際に取得されたのは9日と、大きな隔たりがある。せっかくの制度も、これでは絵に描いた餅だ。

だが、有給休暇はもともと「労働者の権利」のはず。仕事の都合でとれないというのは、そもそもおかしい。ならば、せめて「使い切れなかった有給休暇を会社に買い取ってもらう」ことはできないのだろうか。労働問題にくわしい畠山晃弁護士に聞いた。

●有給休暇を買い取ってもらう権利は、法的に認められた権利ではない

「有給を買い取ってもらうことは、就業規則などで認められていれば可能です。しかし《使い切れなかった有給休暇を使用者に買い取ってもらう権利》は、法的に認められた権利ではありません」

畠山弁護士はこう説明する。なぜ認められないのだろうか。

「有給休暇は、労働からの解放や疲労回復が目的……言い換えると、使用者(会社)は『労働者を現実に休ませるべき』だと考えられてきました。この観点からすれば、買い取り制度は『有給取得を妨げる制度』として、否定的に捉えられます。

実際に、年次有給休暇を買い上げると『予約』し、年次有給休暇の日数を減らしたり、請求された日数を休暇として与えないことは、労働基準法39条違反だと考えられています(昭和30年11月30日基収4718号)」

確かに、もともと「休む権利」なのだから、本来の形で使えるのが一番良いだろう。

「例外的に、有給が買い取り可能と考えられている場合もあります。たとえば、法定年休以外に付与された年休、退職時の年休、時効消滅した年休などです。

しかし買い取り可能な場合でも、高すぎる買い取り価格の設定などは問題視されます。つまり、そうしたケースでも、まずは現実に休ませるべきで、取得を妨げることは望ましくないと考えられているのです」

●「有給休暇のやりくり」がもたらすプラス面に注目すべき

実際に「仕事を休む」ことは、それだけ大切だと考えられているようだ。ただ、現実の取得率などを見る限り、結果的には労働者が「損」をしているだけにも思える。

「昨今は、労使協定・協議などによって、計画年休制度を作ったり、失効年休を積み立てて病気の際に使える制度を導入するなど、様々な取り組みがなされています。買い取り制度を設ける場合もあるでしょう。

しかし現実には、それが不可能な職場も多く、個人でやりくりをするしかない……というケースが多々あります」

それでは、個人として「損」をしないための対策はあるのだろうか。

「月並みですが、次のような対策でしょうか。

(1)会社の就業規則を確認して、自分の年次有給休暇をきちんと把握する

(2)使い切れなかった年休権の翌年度繰り越し、時季指定権、時間単位の年次有給休暇の取得(労使協定による)など、職場の制度を活用する

(3)職場の人達と協力して、意識的に有給休暇を取るようにする

有給休暇については、法定のものに加え、法定外のものもあることや、一定の要件にあてはまるパートタイム労働者にも一定程度付与されること、などの点が見過ごされがちなので、注意すべきでしょう」

畠山弁護士は「きちんと休みメリハリのある生活を送ることは、仕事上も有益です。また、有給を取得するための仕事調整が、チームワークを強くする可能性もあります」として、実際に有給休暇を取得することが個人と企業、両方のメリットになる、と強調していた。

(弁護士ドットコムニュース)

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