4885.jpg
ジャニーズ「無断写真集」販売差し止め――カギとなった「パブリシティ権」ってなに?
2014年09月09日 20時43分

ジャニーズ事務所の人気アイドルグループ「嵐」と「KAT-TUN」のメンバーが、無断で写真集を出されたとして出版社を訴え、損害賠償や販売差し止めを求めた。その裁判で、最高裁は8月中旬、メンバーらの請求を認め、出版社の上告を棄却した。

これにより、出版社に約5400万円の支払いと出版・販売の差し止め、在庫廃棄を命じた判決が確定した。敗訴した「アールズ出版」は2005年から、メンバーのコンサート写真などを無断で使用した写真集「コンプリートお宝フォトファイル」など12冊を販売していた。

この裁判は、「パブリシティ権」という、あまり聞き慣れない権利をめぐり、約5年にわたって争われていた。このパブリシティ権とは何だろうか。梅村陽一郎弁護士に聞いた。

ジャニーズ事務所の人気アイドルグループ「嵐」と「KAT-TUN」のメンバーが、無断で写真集を出されたとして出版社を訴え、損害賠償や販売差し止めを求めた。その裁判で、最高裁は8月中旬、メンバーらの請求を認め、出版社の上告を棄却した。

これにより、出版社に約5400万円の支払いと出版・販売の差し止め、在庫廃棄を命じた判決が確定した。敗訴した「アールズ出版」は2005年から、メンバーのコンサート写真などを無断で使用した写真集「コンプリートお宝フォトファイル」など12冊を販売していた。

この裁判は、「パブリシティ権」という、あまり聞き慣れない権利をめぐり、約5年にわたって争われていた。このパブリシティ権とは何だろうか。梅村陽一郎弁護士に聞いた。

●タレントの肖像には人を引きつける力がある

「芸能人・スポーツ選手など、タレントの見た目や名前――以下では、まとめて「肖像等」と言います――には、『顧客誘因力』があります。『顧客誘引力』とは、簡単にいうと、『人の目を引きつける力』のことです。

タレントがコマーシャルなどに起用されるのは、そのためです。

『パブリシティ権』は、こうした『顧客誘引力』を利用する権利のことです。権利を持っている人に無断で肖像等を利用すると、パブリシティ権の侵害となります」

それでは、タレントの写真や名前を勝手に利用したら、どんな場合でもパブリシティ権の侵害になってしますのだろうか。

「そういうわけではありません。『顧客吸引力』を有する人は、社会の注目を集める有名人でもあります。報道や批評など、無断で言及できるケースもあります」

それでは、パブリシティ権の侵害として、違法になるのはどんな場合だろう。

「判例で挙げられている侵害のパターンは、大きく分けると以下の3つとなります。

(1)肖像等を、それ自体独立して鑑賞の対象となる商品として使用する場合

(2)商品等の差別化を図る目的で、肖像等を商品等に付する場合

(3)肖像等を商品等に広告として使用する場合

こうした場合、もっぱら肖像等の『顧客誘因力』を利用することが目的と言えるからです」

今回の事案はどれに当てはまるだろう

「今回は(1)の場合にあたります。

問題となったのは写真集です。写真集は当然、その写真を鑑賞することが目的で作られるものですから、『肖像等それ自体独立して鑑賞の対象となる商品等として使用』にあてはまります。

こうした写真は、もっぱらメンバーの『顧客誘引力』を利用するものであるので、パブリシティ権を侵害するものと判断されました」

梅村弁護士はこのように述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る